
ワタル(株)大阪支店
酒井泰広
● はじめに
2009年11月末〜12月初めにかけて、弊社取り扱い商品「グァテマラ/フェアトレード&有機栽培」の生産者を訪問する機会に恵まれました。
● グァテマラという国
〜 マヤの人々の暮らす国 〜
面積:約11万平方キロ(日本の面積の1/3以下)
人口:約1400万人
主な産業:コーヒー、砂糖、バナナ、繊維
グァテマラは中米、メキシコの隣にある小さな国です。
映画「2012」で有名になった「マヤの予言」。そのマヤ族が先住民族として暮らしているのがグァテマラです。総人口の40%がマヤ族、残りの60%は、白人や混血の人々です。
この国は貧富の差が非常に激しく、なにより問題なのは、教育レベルが中米でも最低水準ということです。国が建てる学校は小さく、数も不足していて、国民の半分にもなる貧困層(大多数はマヤ族)では小学校を卒業する人さえもほとんどいないのが現実です。

〜 雲の中の村・チョフスニル 〜
弊社とフェアトレードコーヒーの取り組みを続けているのは、チョフスニル・コーヒー生産者組合です。グァテマラ北西部のウエウエテナンゴ県のなかでもさらに奥地・メキシコとの国境の近くに農協のあるチョフスニル村はあります。
首都から、丸2日、途中3000m級の山脈の峠を越えたり、舗装のない山道をガタゴト進み、やっとのことでチョフスニル村へ到着しました。村は標高1500m。グァテマラは南国ですが、この村の朝の寒さは日本並み、いやそれ以上に厳しいものでした。
チョフスニル村には700家族ほどが暮らし、みんながコーヒーを栽培しています。山深いこの村には、それくらいしか現金収入を得る手段がないのです。チョフスニル・コーヒー生産者組合に参加しているのは、そのうち約150家族。皆コーヒーの有機栽培を実践して、おいしいコーヒー栽培の技術指導を通じて豊かな暮らしを実現しようと努力しています。
〜 チョフスニル・コーヒー生産者組合 〜
生産者組合のメンバーの一部、20人ほどと一緒にミーティングを開催、組合リーダーのハコボさんを中心に組合の紹介をしてもらいました。
なぜ、有機栽培の取り組みを始めたのですか?
組合を作ったからといって、こんな山奥では、いいコーヒーを作れてもなかなか高くは売れません。(輸送費が高いので)そこで、有機栽培なら高く売れると聞いて、取り組みを始めました。それに、私たちマヤ人は先祖代々、自然に大切にする生活をしてきたから、有機栽培で土が汚れずに済むというのも大事でした。
有機栽培・フェアトレードで大変なことはどんなことですか?
農作業自体はそんなに大変ではないです。ここはすごく寒いところだから、あまり虫や病気も発生しません。ただ、有機栽培のJAS認証やフェアトレード認証をとるためにはスペイン語で書類を作らないといけません。私たちは普段カンホバル語(マヤ語の一種)を使っているから、あんまりスペイン語が得意ではないですし、書類を読んだり、字を書いたりするのは骨が折れます。
有機栽培・フェアトレードを通じて組合や村はどう変わりましたか?
組合では、事務所を作ったり、パソコンを導入したり、以前より規模が大きくなってきました。新しいメンバーも増え、生産量も少しずつ増えています。また、フェアトレードによって自分たちのコーヒーを高く評価してくれる人がいることが、なにより私たちにとって自信になります。
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| 診療所 |
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| 中学校 |
また、組合では、フェアトレード・プレミアムを使って、村に診療所(看護師常駐)、また村の集会所の建設、そして2008年には中学校の建設を行いました。
村は山奥にあるので、従来は中学校に行くためには町に出る必要があり、中学以上に進むことは経済的に非常に困難でしたが、中学校の建設により村の子供たちによりよい教育を受けさせることができるようになりました。教育は村の財産です。
〜 農家の暮らしはどう変わったのか? 〜
ミーティングのあと、村の中を案内してもらいながら、数人の人から話を聞くことができました。

みんな、いいコーヒーをつくることで家族にちゃんとした生活を送らせることができると話をしてくれました。
ある生産者は、それまで借地だった自分の農園を買い取ることができました。またある生産者は、自分自身が学校に行きなおして、今では高校を卒業するにまで至りました。若者が都会に出たがるのは日本もグァテマラも同じですが、組合には若い生産者もたくさん参加しています。
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メンバーの1人、バレンティンさんのインタビューを翻訳しました。 |
組合・フェアトレードに参加する前は?
組合やフェアトレードに参加する前は、個人でコーヒーを栽培していたけど、いい値段では売れませんでした。その頃は、なんの知識もなかったから、落ちた実を拾って売ったりもしたし、仲買人には「こんなくず豆じゃ価値がない」といわれ買い叩かれていました。
フェアトレードに参加して、生活はどう変わりましたか?
組合に加入して、初めてコーヒーの技術指導や栽培法を学んで、ちゃんとしたコーヒーをつくれるようになりました。そして、フェアトレードのおかげで適正な価格でコーヒーを売れるようになりました。そのおかげで子供たちもちゃんと学校におくることができて、1人は学校の先生になったし、1人は看護学校に通っています。こんな山奥の村で、以前ではとても考えられなかったことです。また、私も副業で薬局を開業できました。
もちろん、いい品質のコーヒーをつくるのは大変です。昔はあまり肥料もやらず、ただコーヒーが実ったらそれを収穫するようなやり方だったけど、今は色々世話をしないといけません。最初の頃は労力の割りになかなか結果も出ず、慣れるまでは大変でした。でも、フェアトレードのおかげで、ちゃんとコーヒーを作れば、生活が良くなってきたので、今は満足しています。
日本の消費者の方へメッセージをお願いします。
私たちのコーヒーを適正な価格で買ってくれて感謝しています。そのお金でコーヒーの木の世話もちゃんとできるようになりましたし、家族もいい生活を送っています。私たちのコーヒーは農薬も化学肥料も使っていないので、どうぞ安心して飲んでください。
● 終わりに
今回、弊社としては3年ぶりにチョフスニル村を訪問することができました。これまで、お客様各位、消費者の方々のご理解とご支援もあり、このフェアトレードの取り組みを続けてくることができました。今回の訪問で、その取り組みの成果の一部を皆様へ報告できました。これまでのお取り組み、ご協力に感謝申し上げます。
フェアトレードの成果で生産者の暮らしはよくなり、村も便利になってきています。とはいえ、今もチョフスニル村には医者もおらず、中学校も教室が1つしかありません。道も舗装されておらず、雨季にはがけ崩れなどで陸の孤島と化してしまうこともあり、まだまだ暮らすにはたいへんな土地です。
チョフスニル村は昼夜の寒暖の差が激しく、霧も多いこの土地は高品質のコーヒー栽培に理想的な環境です。しかし、「おいしいコーヒー」が私たちの手元に届くためには、もう一つの大切な要素があると思います。それは作る人が健康で、ちゃんとした生活をおくり、情熱と技術をもってコーヒー栽培に取り組むことです。
そのためには熱意と向上心を持った人々とのフェアトレードがカギとなるのではないでしょうか。生産者の生活を守るフェアトレードによってこそ、彼らは安心してコーヒー栽培に取り組むことができ、結果として、おいしいコーヒーが私たちの元に届きます。「フェアトレードを通じてこそ、環境にやさしく安全でおいしいコーヒーを消費者のみなさんへ楽しんでいただける」今回の訪問で、私はそのように感じました。
おいしいコーヒー作りのために、真剣に栽培に取り組む生産者とのフェアトレードから生まれた商品「グァテマラ フェアトレード&有機栽培」をこれからもよろしくお願いいたします。

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